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My important place【D.Gray-man】

第35章 抱擁



「神田? ちょっと…っ」

「…だから余計な心配はすんな」


 え?


「言っただろ。お前を置いて死んだりしない」


 抱き込まれたままだから、神田の顔は見えないけど。その言葉ははっきりと強い意志を表していた。


「お前くらい背負い込む覚悟はできてる。だから心配すんな」


 …ああ、さっき私が感じた不安にちゃんと応えてくれてるんだ。
 一緒に生きたいって、そう言った私の言葉に。

 何度も言わないと言いながら、大事な時はちゃんと口にしてくれる。
 普段はわかり難いけど、はっきりと届く時は届く神田の優しさ。

 ……でも今はその優しさが胸を締め付けた。


 一緒に生きてくれるって、そう言ってくれている神田に。


「…本当に…?」


 縋り付きたくなった。


「……私が…」


 神田の胸に顔を押し付けた格好のまま、ぎゅっと拳を握る。

 なんで、こんな時にそんなことを言ってしまったのか。
 神田の迷いなき言葉に、弱い自分が出てしまったのか。





「…………普通…じゃ、なくても…?」





 わからない。





「…は?」





 顔は胸に押し付けているから、見えない。
 でも返ってきた声でわかる。
 多分"何言ってんだ"って怪訝な顔してる。


「普通じゃないって…お前、元々普通じゃねぇだろ」

「はい?」


 だけど次に返された言葉は、あまりにも予想の斜め上をいくものだった。


「こんな予測不能の阿呆、俺はお前以外に知らねぇよ」


 ……。


「いや、そういうことじゃなくて」


 それはそれでなんかちょっとショックなんだけど。
 どんだけ神田に阿呆認定されてるの、私。

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