第35章 抱擁

「ふ…んン…っ」


　ちゅぷ、とお互いの口の隙間から零れる音と液体。
　応えるように何度も舌を絡ませていると、頭の中がぼーっとしてくる。

　ぼーっとして、ふわふわする。
　肌と肌の抱擁とはまた違う、気持ちよさ。


「月城…」


　僅かに離れた口から漏れる、私を呼ぶ声。
　低くて、どこか掠れたその声に。

　ぞくりと肌が震えた。

　なん、だろう。
　名前を呼ばれただけなのに。

　ぞくぞくする。


「脚、開けるか」

「っ…ん…」


　言われるがまま、ゆっくりと脚を開く。
　その間に神田の片膝が割り込んできて、閉じられなくなった。
　つぅ、とショーツの上を辿るように神田の手が滑る。
　そのまま足の付け根に触れられて、じんわりと熱を帯びるように感じた。


「っは…ッン、」


　ショーツの上から形を確かめるように、指先が上下に擦るように触れてきて吐息が零れる。
　薄い布一枚隔てて、秘部に感じる確かな感触。
　胸の時とはまた違うその感覚は、確かに快感だった。

　あ、駄目だ。
　これ、気持ちいい。


「…湿ってきたな」

「んっだ、て…神田が、触るから…」

「月城が感じてるからだろ」

「ぁ、ン…っあっ」


　するりと長い指がショーツの隙間に入り込んで、直接的に触られて思わず体がヒクついた。


「ほら、濡れてる」

「や、ぁ…っ」

「嫌じゃねぇだろ」


　秘部の入口を浅く指が出入りする。
　私自身の愛液でぬる付いた指が、秘部のすぐ上。
　その小さな突起を掠めると、無意識にビクリと体が反応した。


「ぁっあ…っ」

「じゃなきゃそんな声出るかよ」

「ッッ…！」


　カァッと熱が顔に集中して、思わず口を片手で覆う。
　だけどその手はすぐに引き剥がされた。