My important place【D.Gray-man】
第35章 抱擁
恥ずかしい。
でも触れてほしい。
そんなどっちつかずの思考回路。
──ピチャ、
…でも。
──クチュ、
その、ちょっと。
「ぁ…あんまり、舐めないで…っ」
その音やらしいから。
なんか耳が犯されてる気分だからっ
「…なんでだよ。こっちは反応してんのに」
「っ、」
つんと舌先で胸の先端をつつかれる。
「気持ちよくねぇのか」
「わかんな…じんじん、する」
「…それをいいって言うんじゃねぇのかよ?」
暗い部屋だから神田の顔はよく見えないけど、その声は微かに笑って再び胸元に唇が触れた。
…この様子だと、胸の傷跡は気付いてないのかな。
それとも気にしてないのか…怪我なんて日常茶飯事で負ってたし、神田も傷跡とかに興味なんて持ちそうにない性格だし。
どっちにしても、ツッコまれないなら助かるけど。
「…さっきから余所見してんなよ」
「え? あっ…!」
強めに胸の突起を吸われて、思わず声が上がる。
「ソワソワ何考え事なんかしてんだ。ちゃんとこっちに集中してろ」
「え、…」
ば、バレてた。
流石。
…って、
「っ!」
神田の手がズボンにかかって、下ろしてくる。
ほとんどショーツ一枚のような姿にさせられると、流石に黙っていられなかった。
「っ私だけって…恥ずかしいんだけど…」
「あ?」
「神田も…脱いでよ」
暗い部屋だからはっきりとは見えないけど、暗闇に慣れた目ならわかるものはわかる。
…私だけ裸なのは恥ずかしい。
すると沈黙を作った後、神田は徐に身を起こしたかと思うと、呆気なく団服もその下に着ていた中着も脱ぐとベッドの下へと放った。
「これでいいか」
肌を露わに、告げる声に迷いなんて一切感じない。
…流石。
「…うん」
再び覆い被さって、触れる体。
さっきとは違う、直に触れる肌と肌の温もり。
そこには、さっきは感じなかった心地良さがあった。
…人肌って気持ちいい。
「肌…気持ちいい」
自然とその思いが口をつけば、優しく唇を重ねられた。