My important place【D.Gray-man】
第35章 抱擁
それでも止まることなく、胸の間を辿るように唇はキスを散りばめていく。
外気に触れた肌の上を這う、神田のひんやりとした手や、結ばれた長い黒髪がサラリと肌に落ちて。
その何気ない感触にもドキドキした。
「外すぞ、これ」
「…ん」
下着のブラ紐に指を引っ掛けて、促される。
僅かに浮かせた背中のホックを、その手がプツリと外した。
……うん…なんか…慣れてない?
ぎこちなさとか、あんまり感じないんだけど…私が余裕ないから、そう思うだけなのかな…。
「っ…」
外された下着に、露わになる胸。
暗い部屋でも顔の輪郭や目元がなんとなくわかるように、胸だってきっと、なんとなく見えてるはず。
視線をそこに感じて、つい恥ずかしさで顔を背けてしまう。
するとやんわりと包むように、神田の両手が乳房に触れた。
「…ん…く、」
形を確かめるように優しい力で揉まれる。
その長い指が時折胸の突起を掠めると、ピクリと体は勝手に震えた。
「…ここ、少し固くなってる」
「え?…んッ」
突起を指先で摘ままれて刺激される。
普段はひんやりと感じる神田の手なのに、何故かじんと触れられた箇所から熱くなる気がした。
ふっともう片方の胸に吐息を感じて、思わず目線を下げれば、呆気なく胸の先端を口に含む神田の頭部だけが見えた。
「ぁ…っ」
唇の柔らかさと舌の熱を感じて、ぞわぞわと肌が粟立つ。
指先で擦られる感触と舌で舐め回される感触、その両方を感じて。
じんじんと胸の先から熱を帯びた。
「ふ、ゃ…っ…」
ぴちゃ、と舐める水音が暗い部屋でやけにクリアに響く。
そんな音のいやらしさに顔が熱くなる。