My important place【D.Gray-man】
第7章 黒の教団壊滅事件Ⅰ
二人から聞いたゾンビパニック末路の話は、こうだ。
コムイ室長が以前作った"コムビタンD"という薬。
それを投与すると、たちまち疲れが吹き飛んで仕事の残業もなんなくこなせる!
…という目的で作られたけど、あまりに強力過ぎて。
投与すればたちまち理性を失い、ゾンビのように手当たり次第に人を襲う生き物に変わってしまうという。
そんな迷惑な薬が何故かエクソシストであるクロウリーに原液投与されていて、感染源となった彼から広まりあっという間にほとんどの教団内部の人間はゾンビ化してしまった。
…らしい。
「感染源がクロウリーだってわかってても、ワクチン作れる人がいなきゃお手上げなんじゃ…」
「オレらんとこはジョニーが頼みの綱だったんだけどなー…」
「逸れたリーバー達がまだいるだろ。…感染してなけりゃ」
部屋の隅で三人丸くなって作戦会議。
窓から見えた廊下は、至る所をゾンビ化人間が徘徊していて、まるでバイオハザード。
感染源の血からワクチンを作れるのは、科学班の人間だけ。
だけどエクソシストのアレンでさえ、元帥に負けてゾンビ化してしまったのに。
こんなバイオハザードな中で、逸れたリーバーさん達の生存率は果てしなく低いと思う。
「これ、じっとしてたらどうなるんだろ…」
「どうもこうも、オレらもいつか見つかってゾンビの仲間入りさ」
「そんな…ノアに殺られなくても、これじゃ教団内部壊滅なんじゃ──」
「言うな」
思わず零した言葉は、神田に即座に止められる。
そんな自滅的な最後なんて、言葉にしたくない程の間抜け具合だよね流石に。
「じゃあ、どうするの」
「リーバー達を捜すしかねぇだろ」
「でも今のオレ達じゃすぐ捕まっちまうんじゃねぇさ?」
そう言うラビの姿は小学生程の小さな男の子。
隣で腕組みしている神田も同じく子供の姿。
なんで二人がこんな姿なのかというと。
科学班の引越しの手伝い中に、誤って彼らの作った薬を被ってしまったらしい。
時間が経てば戻るらしいけど、どのくらいの時間を要するかはわからなかった。