My important place【D.Gray-man】
第35章 抱擁
「ま、待つさユウ! 雪は悪くねぇから!」
「あ?」
「ラビ…っ」
死刑台にでも向かう気分でいたら。そこに青い顔をしてはいるものの、慌てて立ち塞がってくれたのはラビだった。
その姿はまさに救世主のよう。
なんか恰好良いよ兎さん…!
「やるならオレをやっ」
「邪魔するならそのツラ絶壁になるまで削ぐぞ」
「スミマセン」
「…え。」
おいぃい!諦め早過ぎでしょ!
さっきまでの逝く時は一緒精神はどーした!
「ちょ、待っ…ラビの馬鹿ー!」
「だ、大丈夫さ雪! 雪ならユウに削がれることもねーから!」
「されること自体が問題でしょ」
ずるずると神田に容赦なく引き摺られながら、見えたのは。
握り拳を作って必死に弁解するラビと、その隣で冷静に正論をツッコむリナリーの姿だった。
というか何その根拠のない自信…!
削がれなくたって、普通に殴ってくるからこの鬼は!
神田に有無言わさず連れ去られて、静かになった談話室。
残されたのは、項垂れたラビと一人冷静なリナリー。
「てかさ、リナリー…ユウと互角に渡り合えてんだから、助けてくれたっていいじゃんか…」
「だって折角任務終わりで恋人に会えたんだし。邪魔しないであげたいじゃない」
「へ? 恋人?」
「…あ。」
まさかそんなにあっさりと、リナリーがラビにカミングアウトしちゃってたなんて。
神田にシバかれる恐怖でいっぱいの私は、知る由もなかった。