My important place【D.Gray-man】
第35章 抱擁
「おっ昨日の写真?」
「あ」
「ラビ」
二人でミニアルバムを覗き込んでいると、不意に頭上から声が降ってきた。
振り返れば、興味津々に見てくる翡翠色のタレ目と合う。
今日はよく出没しますね兎さん。
「オレにも見せて♪」
「うん、いいよ」
ソファで隣に腰を下ろしてくるラビに、どうぞとアルバムを手渡す。
「リナリー、画像一枚もオレにくれなかったもんなー。これ焼き増し駄目なんさ?」
「雪と約束したからね」
ちぇーっと残念がるラビに、きっぱりと言い切るリナリーに迷いはない。
約束はきちんと守ってくれてるみたい。
この分なら、神田にも画像は送ってないんだろうな。
よかった。
「でもこうして見比べると、やっぱまだ見慣れねぇさ」
写真の私と今の私を見比べて、ラビが笑う。
「特に今日は酷ぇ顔だし」
「…悪かったですね、酷い顔で」
ニッとラビ特有の笑みを浮かべて言ってくるその言葉に、ついジト目で返せば。
「言われんの嫌なら、しっかり寝ろよ」
ぽんっと頭に手を置かれた。
…あ、もしかして割と心配してくれてたのかな。
今までラビとはよく絡んできたから、その性格は知ってる。
淡白なところもあるけど、情に熱いところもあるから。
気遣ってくれるところは、気遣ってくれる。
「…うん、そうする」
そんなラビらしい気遣いに気付くと、笑みは自然と漏れた。
「んで次の休みには、また着飾って遊び行こーさ。オレと」
「あ、それ本気だったの」
昨夜アレンに思いっきり否定されていたラビの誘いに、思わずツッコむ。
それ本気だったんだね。
まぁ、それくらいでお礼になるならいいけどさ。
「じゃあその時はまた、リナリーにコーディネート頼もうかな」
「いいわよ、いつでも」
「はいはいっオレ次はフェミニン系がいいですっ」
「フェミニン?」
「それなら昨日の服もそうじゃない?」
「あれはどっちかっていうとガーリーだろ。オレもうちょっと大人めな雪も見たいさ」
…おお。
リナリーと普通にレディースファッションの話してる…流石物知り兎さん。
フェミニンとガーリーの違いなんて、私よくわかりません。