My important place【D.Gray-man】
第34章 Resonance
………違う、よ
…多分
『…ぼく達のおうちはここだよ』
だって初めて会ったのに
僕はこの人を知らない
ずっと剥き出しの歯でニコニコ笑ってる、まるでピエロのような人
人のようで人じゃない
そんなこの人は 少しだけ怖かった
『本当にそう思ってマスカ? 貴方達の居場所が此処ダト♡』
『うん』
『本当ニ? 貴方達が生きていく場所が此処ダト?』
『…うん』
首を傾げて、笑いながら問いかけてくる
そんな伯爵さんについ隣に立っていたデビットの手を握れば
その手はぎゅっと、強く握り返してくれた
『あんたが言ったんだろ、オレ達の好きに生きろって。ならオレ達が生きる場所を、好きに選んだって文句言わせねェ』
ひとつだった時と変わらない、強いデビットの声は
いつも僕を安心させてくれる
ほっとして隣を見れば、重なったブラウンの目は笑い返してくれた
『では問い掛けてみてはどうデスカ? 貴方達は本当に、此処で必要とされているノカ♡』
ニコニコと変わらず笑いながら
伯爵さんが指差したのは、僕達の後ろ
『…必要?』
『なに訳わかんねェこと──』
指差す先にあったもの
それは、シスターの姿だった
『…シスター…?』
僕達を見下ろすシスターの顔
それは、笑っていなかった
悲しい顔もしていなかった
『…っ』
重なったのは、町の皆が向けてきたものと同じ
…あ
『…ジャスデビ…? 貴方、なの…?』
『そうだよ。ぼくだよ、シスター。こっちはデビット。もうひとりのぼくだよ』
そんな目で見ないで
僕は僕だよ シスター
『言ったでしょ、デビットはちゃんといるって。それが現実になったの』
『…何、そんなこと…あり得ない、』
『でも本当なんだよ。ほら、ぼくとデビットで体をはんぶんこにしたの』
僕とデビットの目と髪を指差せば
交互にそれを目にしたシスターの顔が、牧師様と同じに引き攣った
ぞわ、と肌に感じる寒気のようなもの