My important place【D.Gray-man】
第34章 Resonance
『さぁ、貴方達はもう自由でス♡ 願ったことはなんでも叶ウ♡ 貴方達の思う通りに生きなサイ♡』
『願ったことはなんでも…?』
『なにバカげたこと言ってんだ?』
『馬鹿げてなどいませン♡ 貴方達はノアの一族なんですカラ♡』
両手を広げて歌うように投げかけてくる、ピエロさんの言葉
あまりに夢のようなその言葉に、思わずデビットと首を傾げる
…ノアの一族?
『頭の痛みはもう治まったでショウ? 目覚めの時なのデス♡』
…あれ
そういえば、あんなにガンガンと響いていた酷い頭痛がない
まるで嘘のように消えていた
カチャ…
『ジャスデビ…?』
『『!』』
背後で聞こえた声に振り返る
見えたのは、部屋のドアを開けて
驚いた顔でこっちを見てくるシスターと牧師様
そうだ、二人にも見せてあげよう
ちゃんとこうしてデビットの姿を見せたら、きっと皆も認めてくれる
『シスターっ見てほら! デビットだよ!』
『っおい…ッ』
『え?』
デビットの腕を引っ張ってシスターに駆け寄る
僕とデビットを見るその目は驚いていた
きっと、凄いねって言ってくれる
一緒に喜んでくれる
シスターなら きっと
『な──』
『なんだ、その姿…あ、あんたは誰だ…!?』
シスターの声は
牧師様の慌てた声に遮られた
『こんばんワ、我輩は千年伯爵♡ その子達を迎えにあがりマシタ♡』
牧師様に深々と帽子の唾を持って頭を下げるピエロさん
千年…伯爵?
それがピエロさんの名前?
変な名前
そんな名前…僕は知らない
『お迎えって…なんで?』
この人は僕のパパやママじゃない
なのになんで、そんなことを言うんだろう
ここにお迎えに来てくれるのは
"家族"だけなのに
『"家族"だからデスヨ♡』
あ、また
まるで僕の心の中がわかるように、当たり前に伯爵さんは頷いた
…家族?
この、伯爵さんが?