My important place【D.Gray-man】
第33章 Twin of a bond
「それに──」
不意にデビットと目が合う。
「中途半端でも判断くらいはつくだろ。狂わなかったら認めてやるよ」
「ヒヒっ♪ 楽しみ~っ」
ニィッと笑う二人のその言葉に、嫌な予感が走る。
どうしよう。
体に不調なんて感じないけど、やっぱり"何か"されたんだ。
「オレは第10使徒"絆(ボンドム)"のデビット。ハイ次!」
「同じく第11使徒"絆(ボンドム)"のジャスデロだよ!」
ガチャ、と腕を交差させて銃を構える二人。
その銃口はお互いの足元に。
…第11使徒…ボンドム?
聞いたことのない名前だけど、なんだか心がざわつく。
さっきから何度も聞いていた、"ラースラ"という名前と同じものを感じて。
なんだろう。
「「二人合わせてジャスデビだ!」」
息ぴったりに名乗りを上げると同時に、弾の入っていないはずの銃がドン!と発砲された。
カッ!と強い光に思わず目が眩む。
「む…!」
咄嗟にクロウリーが私の体を庇うように、黒いコートで隠してくれた。
「な…ッ」
「消えた…!?」
その光は一瞬で、でもその一瞬の隙にジャスデビと名乗ったファンキー少年達の姿は忽然と消えていた。
慌てて周りを見渡すアレン達。
でももう其処に、あの二人の姿はなかった。
なかった、けれど。
「……」
ぎゅっと無意識に両手を握る。
じっとりと掌の中で感じたのは嫌な汗。
私の体に違和感はない。
胸の間にある火傷のような傷跡も、痛んだりしていない。
だけど。
確かに見た、私の知らない二人の子供。
確かに聞いた、知っているようで私の知らない声。
あれはきっと──…あの二人が言っていたメモリーなんだ。
ノアのメモリー。
「……」
そっと店の窓ガラスに目を向ける。
お洒落なショーウィンドウの向こうには、ジャスデロが欲しがっていた女性物のウィッグが飾られていて。
そのガラスに映る私の背後に、ぴたりと寄り添う白い影が見えた。
これもきっとそう。
メモリーの一部なんだ。
誰かに説明されたわけでもないのに、そう理解することができた。
何故かはっきりと。