My important place【D.Gray-man】
第33章 Twin of a bond
「チッ! テメェらが邪魔するから中途半端になっちまったじゃねーか!」
「それも弟子とあの吸血鬼に邪魔されるなんて…ッヒーッ!!」
「邪魔って…雪さんに何しようとしてたんですか」
「テメェには関係ねーよ!」
「そーだそーだ!」
アレンの問いかけに、中指を真上に突き立てるデビットと挑発するように尻を突き出してぺんぺんと叩くジャスデロ。
うん…やっぱりアレンに比べて行動が幼い。
幼いけど──
「それより折角だ、吸血鬼のおっさんに方舟での借りを返してやろうぜジャスデロ!」
「ラジャー!」
ガチャ、と空のはずの拳銃を構える。
さっきも見た光景だったけれど、さっきと決定的に違うところがあった。
それは二人の姿。
浅黒い褐色の肌に、透き通るような金色の目。
そしてその額には──…十字模様の聖痕。
「──っ」
間違いない。
あの二人は──…"ノアの一族"。
「させないわよ…!」
「オレらがいることも忘れんなさ!」
クロウリーに向かって銃を構える二人に、その前に立ち塞がったのはイノセンスを発動させたリナリーとラビだった。
アレンの傍に寄るリンクさんの姿も見える。
捜しに来てくれたのか。
どうやら皆、戻ってきてくれたらしい。
「げ。あのオヒメサマ、エクソシストだったのかよ…!」
「そーいえば、新しいイノセンスが出てきたって社長が言ってたよーな…」
どうやら曖昧にでも結晶型の新しいリナリーのイノセンスのことを、二人は知っていたらしい。
忌々しそうにデビットは舌打ちをすると、距離を取るようにその場から飛び退いた。
「…退くぞ、ジャスデロ」
「え? いいの? あの子」
「弟子のあのイノセンスとオヒメサマのイノセンスは厄介だしな。オレらもまだ万全じゃねェだろ」
「…ヒ」
そう言いながらデビットが握ったのは、自分の左腕。
上着を着てるから、そこがどうなっているのかはわからないけど…そういえばジャスデロの左腕も、右腕より遥かにしっかりと包帯が巻かれていた。
包帯はパンクファッションの一つかと思ってたけど。
あの左腕の包帯は、もしかしたら本当に手当てのものなのかもしれない。