My important place【D.Gray-man】
第34章 Resonance
『違うよ、デビット。急に出てきたのは、ぼくじゃなくてデビットだよ』
『いいえ、違いマス♡ 今この瞬間、二人が同時に生まれたんデス♡』
『え?…同時?』
驚いてるデビットにそう教えてあげれば
両手の人差し指を立てて、ルンルンと楽し気に揺らしながらピエロさんが首を横に振った
同時ってどういうこと?
僕はずっとここにいたのに
『それはどーいう意味だ、デブのおっさん』
『デブの…おっサン…♡』
『ああーッ伯爵タマ落ち込まないでレローっ!』
全く同じことを思っていたらしいデビットの問いかけに、大きなお腹を地面に付けて凹むピエロさん
するとその手に握られていたカボチャの傘が、いきなり動いて喋り出した
わ、傘が喋ってる
ピエロさんだからマジックで動かしてるのかな
『グスン…♡ 貴方達はふたりでひとツ♡ その体を半分こにしただけデス♡』
『『はんぶんこ?』』
メソメソといじけながらも教えてくれたピエロさんが、その手でくるりと宙に円を描く
するとその場に波紋のようなものが広がって、まるで鏡のように僕達を写し出した
『…なるほどな。確かに"半分"だ』
『……ほんとだ』
見えたのは
金の髪とブルーの目をした僕の姿と
黒の髪とブラウンの目をしたデビットの姿
ちぐはぐだった髪の色も目の色も
町の皆やシスター達と同じ、"普通"の姿に変わっていた
『ボンドムの能力は"実現"♡ 貴方達が本当にお互いを必要としたから、その姿が現実となって現レタ♡ ただそれだけのことデス♡』
『え…それじゃあ、』
『おっさんがなにかしたんじゃねェのかよ?』
『我輩は何もしてまセン♡』
凹んでいたお腹を上げて、ピエロさんが笑いかけてくる
確かに消えないでって願った
デビットのことを、強く
…それが本当になったの?
そんな夢みたいな話、普通ならあり得ない
でも目の前にいるのは、確かにデビットだった
証拠も何もないけれど、この感じる心が何よりも証拠だった
これはデビット
間違いない
だって君は僕だから
僕のことだから わかる