My important place【D.Gray-man】
第33章 Twin of a bond
『 奴ヲ許スナ 』
声がする
聞いたことのある言葉を口にして
…でも、どこか知らない声
『 奴ヲ許スナ 』
知っているようで
それは知らない声だった
誰だろう
これは──…多分、私の知らない声
『 奴ヲ許スナ 』
声が段々と近付く
ふとその正体が知りたくなった
理由なんてない
でもその声は私が知っている声よりも
なんだか、少しだけ優しい声に聞こえたから
あなたは──…誰
『 ──揺り籠が ひとつ現った 』
聴こえたのは歌声
『 揺り籠に ひとつが在った 』
歌声が重なる
ひとつ、ふたつ
『 ひとつは ふたつに 為った 』
どこか不気味で
どこか哀しい旋律
『 揺り籠は ひとつ 』
ぼんやりと見えたのは──…黒と金色
二つの小さな頭
『 霧に紛れて 星ひとつ 』
私に背中を向けて歌ってる
手を繋いだ、二人の幼い子供の姿
「…誰?」
恐る恐る歩み寄る
真っ暗な闇にぽつんと二人
何故か光もないのに、その二人の姿ははっきりと見えた
黒くツンツンした癖っ毛の髪の子と
金色でふさふさした癖っ毛の髪の子
『 墓場で揺れて 消えてくよ 』
手を伸ばせば触れられる距離
そこまで近付いていることに気付くと同時に
幼い声で奏でていた歌声が、不意に止まった
「…ねぇ、」
『……』
恐る恐る声をかける
ゆっくりと振り返る二つの顔
見えたのは
茶色がかった瞳を持った、黒髪の子
透き通る青色の瞳を持った、金髪の子
どちらも幼い顔の
──二人の男の子