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My important place【D.Gray-man】

第33章 Twin of a bond



「オレらのメモリーを流し込んでやるから、ちゃんと受け止めろよ」

「ヒ…そんなことしたら、普通の人間なら狂っちゃうんじゃないの?」

「その時はオレの玩具にしてやるよ。見た目はそう悪くねェし?」


 金色の目を細めて、物色するようにデビットが私の顔の輪郭を見回す。
 普段なら寒気がするような色を含んだ目だけど、今の私はそれに構う余裕なんてなかった。

 冷や汗が肌を伝って、ドクドクと心臓が嫌な音を立てる。
 金色の目に、褐色の肌。
 それはこの数ヶ月間に調べに調べた、文献で見た"それ"と同じ特徴だった。

 …だとすれば。
 この少年の額には、もしかしたら私と同じ十字模様の"あれ"があるのかもしれない。


「……」

「おい、どーしたよ。急にしおらしくなったな」

「ヒヒ、驚いちゃった?」


 でも見えない。
 額を強く重ね合わされているから、それを視認することはできなかった。


「まぁいいや。ジャスデロ」

「ラジャー」


 デビットの呼びかけに、こつりと後ろからジャスデロの額が私の後頭部に触れる。
 前と後ろ、自分の頭を挟まれる感覚に。


「…っ」


 凄く嫌な予感がした。


「何、する気…っ」


 メモリーを流し込むって、確か言っていた。
 こじ開けるって何。
 訳がわからないけど、嫌な予感だけはする。
 狂ってしまうのもごめんだけど。
 それ以上に別の恐怖が募って、背中を悪寒が走った。


「別に痛くしねェよ。ラースラに比べりゃ、オレらのメモリーはまだ優しい方だろ」

「ヒッアイツのメモリーは強烈だったもんねぇ」


 あいつ? あいつって誰。
 だからラースラって誰。


「強烈で、可哀想な奴だったんだよね」


 …可哀想?


「…余計なこと言うな、ジャスデロ。いくぞ」

「うん」


 ス、と目の前にあるデビットの顔が目を瞑る。
 金色の目が閉じられて、額を重ね合わせたまま。


「待っ…!」


 ぶるりと寒気がした。

 なんとか羽交い絞めにされた体を足掻かせようとした時。





 ──ィイインッ





「──っ!?」





 強い耳鳴りが襲った。

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