My important place【D.Gray-man】
第7章 黒の教団壊滅事件Ⅰ
「子供に乱暴は駄目でしょ…ッ!」
咄嗟に動いていた体は後先考えず、亡者の中心へと突っ込んでいた。
振り返った団員達の伸びる手を掻い潜って、床をスライディングするように足先から体を倒して滑る。
病院服だったから履いていた物はスリッパだった。
そんな状態で走れないから、今の私は裸足状態。
思ったより足が痛いです…!
「お前…っ!?」
「雪!?」
驚いた神田とラビの顔が向く。
そこに構ってる暇はなく、そのまま滑り様にブックマンの体を蹴り飛ばしていた。
「ごめん!」
ラビの師であり、体術の達人であるブックマンに手加減なんてしてられない。
だけどやっぱりゾンビと化した分、鈍っているのか。ブックマンの小柄な老体は簡単にラビから離れ弾かれた。
「た…ッ助かったさー! 雪ー!」
「それより神田も助けないと!」
涙を零しそうな勢いで抱き付いてくるラビをとりあえず受けとめて、ブックマンより難関な、神田を抱きしめてるティエドール元帥に向き直る。
自分の部隊のエクソシストは我が子のように可愛がる、それがティエドール元帥という男性。
それはゾンビと化してても健在なようだ。
となれば。
「テ、ティエドール元帥!」
「ん~?」
ゾンビと化した人には言葉は通じないかと思ってたけど、元帥達は特化しているのか、言葉を発してるところを見ると通じるのかもしれない。
そんな一か八かの賭け。
「それ、神田違いますよ!」
「…え?」
口から出まかせとは、正にこのこと。
「神田がそんな子供な訳ないじゃないですか! よく見て下さい、顔だって然程美形じゃないし! チビだし! 子供特有の可愛さだってないし!」
「や、ユウに可愛さはないんじゃねぇさ?」
兎さんは黙ってて下さい。
「テメ…言いたい放題言いやがって…ッ」
ティエドール元帥の腕の中で青筋立てる神田も、この際無視。
助けようとしてるんだから怒らないで下さい。
「うーん。そう言われれば…確かに、小さいユーくんはおかっぱだったしねぇ」
まじまじと腕の中の神田を見下ろして、ティエドール元帥が首を傾げる。
やっぱりゾンビ化してると、いつもより頭が緩くなってる気がする。