My important place【D.Gray-man】
第7章 黒の教団壊滅事件Ⅰ
「ジョニー…逃げ…」
「嫌だ! アレンを置いてなんかいかない!」
ズビズビと涙と鼻水を流して、ジョニーが力なく倒れているアレンを抱きしめる。
そんなアレンの顔は他の亡者同様、ピキピキと血管が浮かび上がっていた。
もしかして…あれ、操られているんじゃなくて…何かに…感染している、とか…?
「や、やべーさ、マジで…ッ絶体絶命じゃね!?」
「クソッコムイの野郎…!」
不意に聞こえた新たな声は、アレンの纏っている白いエクソシストのマントの下から。
元帥の攻撃から避難でもしていたのか、もぞもぞと出てきた二人は確かに知っている顔だった。
だった、けど。
「子供?」
何故かその体は小学生程度しかなく、その口から発せられる声も幼いもの。
あれ…ラビと神田で合ってるよね…?
…多分。
神田の悪態つく様を見るところ、もしかしたら室長の薬か何かで小さくなっちゃったのかな。
…相変わらず問題の多い人ですねコムイ室長。
「さぁ、一緒に逝こうユーくん」
「だからその呼び方やめろ!」
「シャアァアア…!」
「げっ! こっち来んなパンダ!」
幼い体はいつもの身体能力も発揮できないのか。ゾンビのように虚ろな目をしたティエドール元帥と、ブックマンが二人に襲い掛かる。
初めて、まとも(約二名、体はまともじゃないけど)な人を見つけたからか、此処で彼らを失ってしまうのは私が心許なくて。
だからなのか、咄嗟に体が飛び出していたのは。
「さぁて一緒に遊ぼうぜェ…!」
「ぐあ…!」
だけど飛び出したと同時に、いつも顔をすっぽりと覆っている仮面を外したソカロ元帥が、狂気的な笑みを浮かべてジョニーを襲う。
駄目だ間に合わなかった…!
好戦的な姿勢は普段もゾンビ化しても変わっていないみたいで、その証拠に声をかける暇もなく、ソカロ元帥の歯は躊躇なくジョニーの肩に深く食い込んでいた。
そういえばと思い出す。
マリも出会ってすぐ、私の腕に噛み付こうとしていた。
もしかして、あれで亡者みたいになっていたとか…っ?
今把握してるだけで、まともな人はジョニーとラビと神田だけだった。
でも噛まれることによって起こる感染なら、ジョニーはアウトだ。
「クソ…ッ!」
「嫌さマジで…!」
そしてあの二人も危ない。