My important place【D.Gray-man】
第33章 Twin of a bond
「デビットに言ったら買ってもらえるかなぁ~…」
ううーん、と首を傾げて呻る彼は、何をそんなに真剣に見ているのか。
興味が湧くままに視線をショーウィンドウに向ければ、そこに飾られていたのは女性物のウィッグだった。
「……」
ああ…あの子、ビジュアル系もしくは女装癖な子なんだ…。
「…さて、行こう」
世の中、色んな人がいるもんね。
偏見なんて持っちゃ駄目。
そう自分に心の中で言い聞かせて、街中へと踏み出す。
「いた! ジャスデロ!」
「あ、デビット!」
そこに飛んできた声は、先程その金髪少年が口にしていた名の持ち主らしく。大きな呼び声に思わず再度目を向ければ、金髪少年と同じように顔にアイメイクを施した、パンク要素の強い服装の黒髪少年がバタバタと走り寄っていた。
わー…個性強。
これじゃ私じゃなくても目を引く。
周りを見ればやっぱり、ちらほらと行き交う人達の目が向いてはすぐに逸らされていく。
パンク少年が一人だけでも個性強いのに、それが二人となれば更に主張は強くなる。
だけどそんな二人は周りの視線なんて慣れているのか、気にしている様子はなかった。
「捜したんだぜ、何してんだよ」
「ヒヒッ! ねぇ見てデビット、これっ」
「あ?…そーいや、あの吸血鬼に髪の毛毟り取られてたっけ」
「うん…デロのゴールデン美髪、ダメになっちゃったから…」
吸血鬼?
どことなく引っ掛かる言葉につい気は向いたけど、見た目から奇抜な二人組だし。
話の内容も色々と奇抜に可笑しくても、不思議じゃないのかもしれない。
しょんぼりと肩を落とすジャスデロと呼ばれた金髪少年の髪は、確かに所々長さが不規則でお世辞にも"美髪"とは言えないものだった。