My important place【D.Gray-man】
第34章 Resonance
振り返っても誰もいない。
辺りを見渡しても、子供の姿なんて見当たらない。
あれ…?
「……」
「雪? どうしたの、さっきからボーっとして」
「やっぱりあいつらに、何かやられたんじゃねぇさ?」
「…ううん」
不思議そうに見てくるリナリーとラビに、視線を戻して笑いかける。
「ごめん、なんでもない。司令室、行こう」
大丈夫。
体には支障ないし変な不調も感じない。
──だけど。
「……」
なんだか言いようのない不安があった。
あの二人が中途半端にでも流し込んだという、ノアのメモリー。
もしかしたら、さっき一瞬見えた気がした子供達は──
「…っ」
ううん。
変なことは考えるな。
考えると嫌な予感が本物になってしまいそうで。それを追い出すように、頭を横に振った。
「ええーっ! 皆でショッピングとスイーツ巡り!? なんで僕も誘ってくれなかったのさー!!!」
「……」
「…問題はそこじゃないでしょ、兄さん」
…何はともあれ、コムイ室長のこのフランクさには心底救われる気がする。
ぶわっと涙混じりに叫ぶ室長を目の前に、強張っていた体の力が少し解けた気がした。
ありがとうございます、本当に。