My important place【D.Gray-man】
第33章 Twin of a bond
「──あった…!」
慌てて戻ってきたお店の更衣室を覗けば、探し物はすぐに見つかった。
左手首に数珠を通して、ほっと安心の溜息と共に笑みが漏れる。
よかった、これで神田に怒られずに済む。
「……」
…まぁ、それもあるけど。
結局のところ、何よりも失くしてショックを受けるのは自分だから。
しっかりと手首にその感触を確かめながら、気を付けないと、と気を引き締めてお店を出た。
「ヒ~…いいなぁコレ…」
思わず目を止めたのは、あまりにそれが奇抜な姿をしていたからだと思う。
「でもちょっと高いなぁ…」
出てきたお店のショーウィンドウを外から覗きながら、ぶつぶつと呟いている少年が一人。
女性用のお店を少年が覗いてるっていうのも珍しいものだったけど、何より珍しく映ったのは、その姿。
ウェーブを描く金髪の長い髪に、その下にある顔にはくっきりと大袈裟な程のアイメイク。
パンダ目になりそうな程のはっきりとしたアイメイクだけど、独特のセンスなのか普通の化粧とは少し違う。
そして網目が入ったピチッとした黒いズボンに、ファー付き上着とファー付きブーツ。
両腕には大怪我でもしたのか、ぐるぐると包帯が巻かれていて黒と白のコントラストが目に強い。
パンクというかファンキーというか…。
顔も格好も奇抜で、足を止めるには充分な姿だった。