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My important place【D.Gray-man】

第33章 Twin of a bond



「それでそのスイーツのお店って、何処なの?」

「ラデュレというお店です。場所は…」

「あ、それオレ知ってんさ! 超有名店じゃね?」

「そうなんですか…楽しみだなぁ…」

「アレン、涎が出てるであるっ」


 わいわいと雑談しながら街並みを歩く皆についていきながら、自然と笑みが漏れる。
 こういう休日もいいなぁ…。
 ……神田も連れて行けてたら、アレン達みたいに楽しんでくれたかな。

 ………いや、難しそう。

 でも最近は誘えば渋々でも付き合ってくれること多いから。
 仏頂面しながらでも、ついて来てくれたんじゃないかな。


「──?」


 そんな姿を想像してつい吹き出しそうになりながらさり気なく触れた手首に、あったはずの感触がなくて思わず足が止まった。


「え、あれ」


 ぱっと視線を落として見えた左手首に、見慣れたあの数珠の姿はなくて、思わず焦って辺りを見渡す。
 もしかして何処かに落とし──…あ。


「そういえば…っ」


 確か何度も着せ替えさせられる中で、売り物の服に引っ掛けたら悪いと思って更衣室で一度外したんだっけ。
 その時、見失わないように更衣室のハンガーかけに引っ掛けて──


「リナリーっ皆っ」

「え?」

「なんさ?」

「どうしたんですか」


 慌てて前を歩く皆に声をかける。


「ごめん、ちょっとお店に忘れ物してっ先行ってて、すぐ追いかけるから!」

「あ、雪っ」

「忘れ物?…って、雪さんっ」


 リンクさんが言ってたお店は有名店だから、探せばすぐ見つかる。
 だから迷う心配はない。

 早口にそれだけ告げて、脇目も振らずに踵を返して走る。
 周りはそれなりに人で混雑していたから、すぐにアレン達の声はその人混みに紛れて聞こえなくなった。

 皆には悪いけど、今の私の最優先事項はそれ。
 急いで戻らないと、誰かに持っていかれたら困る。


 あの数珠は神田から預かってるもの。
 失くしてしまったら、神田に怒られる…!

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