My important place【D.Gray-man】
第32章 幾恋心
「ホクロ二つにはわかんねぇさ、ユウの恐ろしさが…!」
「で、でも一緒に任務行ったことあるしッリンクさんもわかると思う…!」
思わずホクロ二つに抗議する。
そこにフォローするように雪が付け足せば、あっさりとした顔でそいつは首を横に振った。
「そこまで怯える理由はわかりません。というか私はホクロ二つではありません!」
いいじゃん、わかり易いあだ名だろ。
そんな額に不自然な赤いホクロみたいな模様二つ付けてんだから。
あだ名付けて下さいって言ってるようなもんだろそれ。
「方舟ん中で、オレらに界蟲飛ばして攻撃してきたことあるしさー…」
「あ、似たようなの私も年越し任務であった」
「え、マジで」
「まじで。避けなきゃ当たってた」
思わず雪を凝視すれば、勢いよく頭を縦に振られた。
…マジか。
雪に対してそこまでやるなら…オレ、三枚にオロされるかもしんない。
「というかラビは別に怒られないでしょ。私は何阿呆なことやってんだって怒られると思うけど」
「いやいやいや」
わかってねぇです、雪さん。
雪に怪我させたら刻むってオレに言ったんさ、ユウは。
他人をそんなふうに気に掛けなかったユウが。
そんな雪を特別視してんのに、オレとのあんなツーショット見せられたら怒るだろ。
オレがユウだったら良い気はしない。
他の男に顔近付けられて、赤くなってる雪とか見たら──………うん。
……やっぱオレ、三枚にオロされるかも。
「…雪、逝く時は一緒だかんな。オレ一人嫌だかんな…」
「わかった。その時は一緒にいよう」
思わず項垂れれば、がしっとオレの両手を握って雪はしっかりと頷いてくれた。
…そんな些細なことで嬉しさを感じたオレは、割と現金なのかもしれない。
「……」
そんなオレらをホクロ二つの監査官だけは、冷ややかに呆れた目で見ていた。
お前もユウの逆鱗に触れたらわかるって。
マジ怖いから。
マジで鬼だから。
……とりあえずリナリーにあの画像を削除させる方法を、まず考えよう。