• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第32章 幾恋心



「折角綺麗になったんだし。神田本人に見せなきゃ意味がないでしょ?」

「意味なくなんてない! 綺麗にしてくれてありがとう! それだけで充分です!」


 リナリーの手首を強く掴んで止めても、美少女は顔色一つ変えずさらりと当たり前に言い切った。

 いやいやいや。
 神田が任務でいない今だから、潔く着せ替え人形になったけど。
 こんな姿神田に見られたら、"何女の恰好してんだよ"って呆れられるに決まってる!
 時々私の性別無視してたしね、あの人!


「何言ってるの。女の子が可愛くあるのは、好きな人にそう見られたいからでしょ」

「ぃゃ…それは…っ」


 否定はしないけど…ッ


「じ、じゃあリナリーもそうなのっ?」

「え?」


 それは咄嗟に話題を逸らす為に振った言葉だった。


「リナリーはいつも可愛くしてるでしょ? それって、そうやって見てもらいたい人がいるから?」


 だったけど。


「……」


 あれ。
 急に押し黙ったリナリーに違和感を覚えれば、その顔が──…あ。

 赤くなった。


「あらまぁ…もしかしてリナリーちゃん…」

「……そういう人がいるんだ」


 思わずまじまじとジェリーさんとその顔を見る。
 すると恥ずかしそうにリナリーはそっぽを向いてしまった。

 わー…何この可愛い生き物。
 私と同じ女ですかそうですか凄く可愛いんですけど。


「別に好きとかそういう訳じゃ…ちょっと、気になるかなってだけで…」

「え、誰それ。同じ教団の人?」

「アタシも気になるわね~。コムタンが知ったら驚くわよ」

「に、兄さんには言わないでっ」


 慌ててジェリーさんに口止めするリナリーの気持ちは、よくわかった。
 コムイ室長がそんなこと知ったら、その相手を半殺しに行きそうな気がする。


「勿論言わないわよ! 女同士の秘密ねっ」


 いや、女同士違いますジェリーさん。
 女性とオカマさんです、ジェリーさん。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp