My important place【D.Gray-man】
第32章 幾恋心
「それは違うわよ、雪。似合ってないって思うのは、見慣れてないだけであって。ちゃんと雪だって似合うわよ。女の子だもの」
スカートの上に細いシンプルなベルトを付けてくれながら、少し体を離して私を見たリナリーが笑顔で頷く。
「うん、とっても似合ってる」
「あら! 可愛いじゃなーいっ」
そのリナリーの綺麗な笑顔と、歓声を上げるジェリーさんになんだか恥ずかしくなって思わず俯いた。
「どうせだから、他も弄っちゃいましょうか。髪とか」
「あ、それいいわね!」
「えっ」
だけど続いて聞こえたジェリーさんの発言に、思わず顔は勢いよく上がった。
今、なんて。
「ふ、服だけで充分だよ」
「いいじゃない、折角なんだし。頭から足先まで可愛くしましょ?」
「って何その道具!? 何処のスタイリストさん!?」
何処からともなく、どんっと大きな箱を机に置いて開くジェリーさん。
そこに見えたのは、化粧品やらコテやら髪飾りやらネイルやら色々。
さながらスタイリストの仕事道具のようだった。
「ジェリーさんはお化粧とかも上手だから、ミランダによく手解きしてあげてるのよ」
成程。
…って、まさかそれ私にもする気じゃありませんよねジェリーさん違いますよね。
「待っ…ほ、本当に大丈夫です…ッ間に合ってます…!」
「大丈夫よー、そんなに怖がらないの。優しくしたげるから」
なんか発言が怖い!
ニマーっと黒い笑みを浮かべるジェリーさんに、思わず後退る。
綺麗に飾って頂けるのは嬉しいんですけどね…!
なんかもう飾り立てられる人形になってる気が…!
「リ、リナリー…助け」
「諦めて、雪」
あ。
見捨てられました。