My important place【D.Gray-man】
第32章 幾恋心
「いやねぇ雪ちゃん。恋する乙女の味方なのよアタシは!」
「…いやどっから嗅ぎ付けたんですか」
ばちんっと大袈裟にウィンクしてくるジェリーさんに、思わず真顔でツッコむ。
オカマさんで女子力高いジェリーさんが、リナリーやミランダさんと仲良いのは知ってたけど…嗅覚鋭過ぎでしょ。
食堂の厨房空けてていいんですか。
「ううん…よしっじゃあこれ着て、雪。これならきっと似合うと思う」
「え…これ着るの?」
散々色んな服を体に照らし合わされて被されて袖を通されて、疲労感が漂っていた頃。
やっと答えが出たらしいリナリーに、笑顔で洋服を一式渡された。
「うん。ジェリーさんは後ろ向いててね」
「あらん。アタシ、心はばっちり乙女よ?」
「スミマセン切実にあっち向いてて下さいお願いします」
輝かしいばかりの笑顔で言ってくるジェリーさんに、深々と頭を下げて速攻で頼み込む。
心は乙女でも抵抗感ありますから。
「神田の好みなんてわからないから、とりあえず清楚系にしてみたの。どう?」
「…どうって言われても…私、似合ってない気がする…」
渡された服は、七部袖の袖や襟元に控えめにフリルが付いたお洒落な白いブラウスと、きゅっとウエストが引き締まった紺色のハイウエストフレアスカート。
うん、何処からどう見ても女子の服。
素敵に可愛い女の子の格好。
短パンは履くけど、スカートはあんまり履かないからなぁ…こんなに太腿出るの、心許ないかも…。
もたもたと着替えながら、見慣れない自分の姿に思わず溜息。
こういうのってリナリーが着るから似合うんだと思う。
私じゃ服に負けます。