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My important place【D.Gray-man】

第32章 幾恋心



「へぇ、そうなんだ」

「…誰にも言わないでね」

「うん、勿論」


 食堂で朝食を取りながら、にこにこと向かいの席で満面の笑みを浮かべるリナリーを見て溜息一つ。
 結局、事の詳細は伝えてないけど神田との仲はバレてしまった。
 というか言わないと、リナリーが掴んだ手を解放してくれなかったから。

 もう半ば脅しですよリナリーさん…。


「それにしても、あの神田がねー…私、嬉しいな」


 そう呟くリナリーは、本当に嬉しそうにふわりと微笑む。
 同性の私でも見惚れるくらいの優しい笑み。
 …神田とは幼い頃から仲良くしてたみたいだし…それだけの思いが、きっとあるんだろうな。


「…昔の神田って、どんな子供だったの?」


 純粋に興味が湧いた。
 私の知らない神田を知ってるリナリーだから。


「今と然程変わらないわ。誰に対しても冷たいし笑わないし、怒ったらすぐ手が出るし」

「あ、やっぱり」


 なんとなくそんな気はしてたけど。


「でも雪には違うってことよね?」

「…いや、大して変わらないと思う…」


 手を出すとこは出してくるし、暴言も吐く時は吐くし。


「そういう仲になったからって、特に何か変わった訳じゃないよ。私も神田も」


 そりゃ、まぁ…その、違いは…多少はあるけど。
 でも根本は大して変わってない。
 私も神田も、そのままのお互いを望んだから。


「そうなの?」

「うん。昨日も朝の挨拶代わりに頭叩かれたしね」


 あはは、と笑って軽く言えば、リナリーは綺麗な眉を寄せて不意に溜息をついた。


「駄目よ、そんなの。雪は女の子なんだから、優しくしないと」

「だよね。私もそう思う」


 女だから、というより。
 とりあえずあの暴力癖は頂けない。

 慣れたけどね、今更だけどね。

 うんうんと頷いて賛同すれば、何か考えるようにリナリーがじっと私を──…何?


「神田ってあれで単純なところあるから。まずは見た目から変えていくのがいいかも」

「え?」


 なんのこと?

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