My important place【D.Gray-man】
第32章 幾恋心
「ね、誰にも言わないから。教えてくれる?」
「教えるって何を…っ」
私の手を握ったまま、うずうずとした顔で問いかけてくるリナリーは何処からどう見ても、普通の10代の女の子。
ミランダさんにバレンタインでマリへのチョコを勧めていた時と、全く同じ顔をしていた。
「神田とのこと。どっちから想いを伝えたの? きっかけは?」
「ちょ、何…っなんで決めつけ!?」
いやそうだけど!
間違ってないけど!
慌てて腕を引っ込めようにも、強く握られた手を離すことはできなかった。
流石、愛の鉄拳でアレンやラビを殴り飛ばせる女の子!
「あら、そうでしょ? だって神田が昔から付けてる物を、雪が付けてるんだから」
「!」
咄嗟に腕の数珠を隠すように押さえる。
しまった。
リナリーは神田と幼馴染だから、数珠のことも知ってて当たり前だったのかも。
そんな私の反応に、更にリナリーの顔が良い笑顔になる。
うわ…綺麗だけど、今の私には嫌なものにしか見えない。
「ね、雪。今日お休みでしょ? 私も休みなの」
「…だから、なんでしょう…」
「昨日は組み手一緒にできなかったし。その分、今日は付き合って欲しいな」
にっこりと、綺麗な笑みを浮かべて軽く首を傾げてくる美少女。
でもその問いは、自分には半ば強制的なものでしかなかった。
いや…うん。
可愛いんだけどね。
同性の私でもこの至近距離で見るとドキリとするくらい、可愛いんだけどね。
…私に絡むのはやめて下さい。