My important place【D.Gray-man】
第31章 嘘と誠
修練場を出て、神田と広い廊下を並んで歩く。
「神田って、狭そうに見えて実は凄く広い心の持ち主だったんだね」
私に待つって言ってくれたこともそうだけど、何より今回アレンに喧嘩を売らなかったことがそう。
何を優先させたかったのかはわからないけど、とにかく目から鱗でした。
やればできるじゃないですか、神田さん。
「…それは褒めてんのか貶してんのかどっちだ」
「紛うことなき褒め言葉です」
ぐっと親指立てて言えば、隣を歩く顔は面倒臭そうに私を見てきたけど、何も言われなかった。
…というか何その面倒臭そうな顔。
褒めただけですけど。
私って一応、神田とそういう関係なんだよね?
いやまぁ、はっきりと好意を口にされてないからはっきりとは言えないけど。
そういう関係になったからって、神田があからさまに態度を変えないこともわかってるけど。
…そんな面倒臭そうな顔しなくても。
………まぁそんな神田のお陰で、肩の力は抜けたんだけど。
「あ、そうだ」
「?」
「神田、この後時間ある?」
「時間?」
「うん」
肩の力が抜ければ、なんだか元気が出た。
折角こうして神田と一緒に休日を過ごせてるんだし、いつまでもうだうだノアのことなんて考えていたくない。
ふと思い出したことを実行しようと、笑顔で頷いてみせた。