My important place【D.Gray-man】
第31章 嘘と誠
「……よし」
──次の日。
朝ご飯をジェリーさんに貰って、食堂内を見渡す。
あの目立つ黒髪長髪が見当たらないことに、自然と肩の力が抜けた。
…いや、"よし"って。
なんで神田がいないことにほっとしてんの、私。
「…構え過ぎ」
思わず肩を下げながら、空いた席に座る。
そんな未来ないと思っていたから、未だにちょっぴり信じられない。
だからなのか、どう神田と接していいのか…正直、迷う。
いや、いつも通りでいればいいんだろうけど…。
「…駄目だなぁ、私…」
サラダを口に運びながら、咀嚼の間で溜息。
誰かと恋仲なんてなったことなかったからなぁ…こういうこと、嫌でも経験しておくべきだったかも。
例えばラビとだったら──
「…ないな。うん」
ラビは"仲間"とか"気の良い友人"って意識が強いし。
…それにあんなことがあったから、下手にネタにできない。
じゃあアレンとか──
「…不釣り合いかな。うん」
あんなに良い子を誑かせられない。
というかアレンにはリナリーがいたっけ、そういえば。
あの二人仲良いもんね、付き合ってたりしないのかな。
あと他には──
「……」
教団内での男性陣を思い出す。
というか教団は男性の比率が多いから、異性なんて沢山いるんだけど。
「……ないな」
今まで両親だけを思って生きてきたから、皆"仕事相手"としてしか見てこなかった。
今更そんな人達を"異性"として見る方が無理かもしれない…。
「強いて言うなら…クロス元帥とか」
教団で少しでも心を開けたきっかけはクロス元帥だったし…あの人、女癖と酒癖と金癖が悪いからどうしてもそっちに目がいくけど。
人間性を見れば、良い人だと思う。
「でも女癖と酒癖と金癖が悪いのはきつい…」
人間性を見れば、だけど。
その他が個性的過ぎる。