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My important place【D.Gray-man】

第6章 異変


──────────

「はぁ…」


 一番近くの共同トイレの中。
 個室の便座に座り込んだまま、深々と溜息をつく。

 なんて言うか…うん。
 深夜の病棟って、駄目だと思う。

 そのキーワードだけ聞いたら、絶対ホラー的なこと連想してしまう。
 他人はそうでなくても、私はそうです。


「教団って無駄に造りが怖い気がする…」


 初めて来た時は、その広さにも驚いたけど。
 暗い天幕や重い雰囲気の内装は、まるで影を帯びるような造りに見えた。

 〝黒の教団〟

 その名は正に、この建物の為にあるような名だと思う。

 …そして。


「…檻…」


 エクソシストを閉じ込めておくべき所。

 あのフランクなコムイ室長がこの教団内で一番偉い上司だから、明るい職場に思えるけれど。
 コムイ室長が就任する前は、この教団も口外できないような実験を色々していた。
 故に幽霊が出ると噂の場所だってあるし、立入禁止な場所も多い。
 まぁ大体はコムイ室長がやらかしちゃった実験室とかだけど…。


「って駄目だ。早く戻ろう」


 考え事をしてしまうと、ついつい長居してしまう。
 邪魔な点滴の機器に手を添えながら、便座から腰を上げた。




 ──カツン、




 瞬間。
 またあの足音のような音を聞いた。

 今度は、




 ──カツン、カツン、




 はっきりと。

 音はトイレの出入口から聞こえているようだった。
 普通に考えれば、きっとトイレに来た誰かの足音。
 だけど。


 カツン、カツ…カツン、


 トイレのタイルを踏むその音は、どこか覚束ない。
 まるでふらふらと彷徨っているようにも思えた。
 誰、だろう。

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