My important place【D.Gray-man】
第2章 空白の居場所
「ユウも容赦ないよなー。任務の報告も任せっきりなんだろ?」
ちら、とラビの目が後方の司令室の扉に向く。
「まぁでも今更だし。隣で仏頂面され続けるよりは、一人の方が楽だから」
神田が積極的に行うのは、任務内容であるイノセンスの回収やAKUMAの討伐のみ。
任務前後の用意や後始末やその他諸々の雑用は、ほとんど私がやってる。
でももう今更。
最初は大変だったけど、もう慣れた。
私はサポート役だから、当たり前のことをしてるだけ。
そこに感謝の意や同情は求めてない。
此処で私が戦う理由。
それは特に何もないから。
「はー。ファインダーの鏡さな、雪は。流石、親の血」
感心するように呟いたラビの何気ない言葉に、ぴくりと指先が軽く反応してしまった。
「別に普通だよ。それよりシャワー浴びたいから、行くね」
「おう。ゆっくり休めよ」
労うように声を掛けてくれるラビに笑顔で頷いて、教団内部のシャワー室に急ぐ。
その視線に隠れて見えない袖の中で、ぎゅっと拳を握りしめる。
駄目だな…まだあんな言葉に揺らぐなんて。
母はファインダーではなく教団のサポーターとして世界各国を回っていたけど、エクソシストであった父と共にこの教団を拠点として働いていた。
その為、私の両親の記録は此処にしかなくて、それを知る為に私もこの地に赴いた。