My important place【D.Gray-man】
第6章 異変
「そろそろ行きますよ。科学班の所に行かないと」
「あ、そうだった」
「じゃ、オレ達もう行くさ」
婦長さんに一通り叱られた、その後。
急かすリンクさんに、アレンとラビも背中を向けた。
科学班に用事?
なんだろう。
「うん、ありがとう」
まぁいっか。
イノセンス関連か何かかな。
なんだかんだ見舞いに来てくれた三人に礼を言って見送る。
取り残された病室は、特別な検査入院だから私一人だけ。
お見舞いの人がいなくなれば、あっという間に静かになる。
「早く退院したいな…」
寂しいだなんて、子供みたいなことは言わないけど。
検査なら初日から散々受けた。
もう脇腹の傷もほぼ完治だし、いい加減解放されたいんだけどな…。
──ズキ
「…痛」
頭に走った鈍い痛みに、思い出す。
そうだ。
脇腹の怪我はほとんど完治したのに、何故かこの額の傷跡はいつまで経っても治る様子がなかった。
寧ろ段々と傷跡が濃くなっているような気もする。
「…なんでだろ」
鏡を手に額を伺う。
貼られた絆創膏は、微かに赤く滲んでいた。
また出血しちゃったんだ…。
「もしかして免疫力落ちてるのかな…」
検査続きで、食事も最近は病院食ばかり。
もしかしたら体の抵抗力が落ちてるのかもしれない。
それなら怪我の治りが遅いのもわかる。
…と、思う。
「うん」
そういうことにしておこう。
答えが見つからないことを考え込んでしまうと、不安になりそうで思考を切り替える。
医療は専門外だから、どんなに考えたって体の仕組みなんてわからない。
こういうことは専門の人に頼るに限る。
「検査入院が終わったら、婦長さんに診てもらおう」
そう決めてベッドに横になる。
時刻はもう夜。
まだ般若みたいな顔してたら怖いから、婦長さんには検査が終わって額傷のことは聞くことにした。