My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「ッ……」
ふらりと神田の足がよろめく。
その足元に、ボタボタと零れ落ちていく大量の赤い液体。
「終わりだな」
冷たい言葉を投げかけるビットリオが見る先。
其処には、肩から胸にかけて斜めにざっくりと大剣の刃を受けた神田がいた。
「…っは…終わりなのは、テメェ、だろ…」
ふらつきながらも立ったまま、神田の口が僅かに上がって笑う。
片手で肩に深々と刺さっている大剣を自ら押さえ付け、もう片手で六幻を掲げた。
「ッ! 何…!」
「大層な武器を持ってても…使えないんじゃ、終わり、だな…!」
ザンッ…!
呻る六幻。
真横に深く斬り裂いたのは、ビットリオの胸。
「ぐあ…ッ!」
ぐらりと傾くビットリオの体。
同時に神田の手は大剣から離れ、倒れゆくビットリオの重力に従ってその剣が落ちる。
はずだった。
──ズシュ…ッ
皮膚を断ち切る音。
「──……」
ビットリオの最後の力か、暴走したイノセンスの力か。
肩から離れた大剣のギザギザの刃は、神田の喉元に食い込んだ。
──あ
瞬間。
まるで水飛沫のように、暗い空を舞う赤い血を見た。