My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「雑魚だな。すぐに片付けてやる」
「二人は隠れて!」
「うんっゴズ!」
「は、はいぃっ」
アレンのマントと帯から解放されて、ゴズを呼んで駆け出す。
同時に地を蹴った神田とアレンは、自分達に目を向けさせるかのようにAKUMA達の群の中に突っ込んだ。
「こっち! 隠れて!」
闘技場の客席下の柱の影に隠れる。
巨体を精一杯縮ませながら傍につくゴズを確認して、再び闘技場広場に目を向けた。
アレンの言う通り、其処には沢山のAKUMAの姿があった。
でもどれもレベル1程だから、きっと問題ない。
問題なのは──
「先輩、あそこ! あそこにビットリオがいます…!」
ゴズが指差した先。
其処には神田達同様、闘技場広場でAKUMAと戦り合うビットリオの姿があった。
ビットリオは私のことを"悪魔"だと言っていた。
人の皮がどうだとか言ってたし…その発言からして、きっとAKUMAのことを知ってる。
恐らくこうやって、何度もAKUMAと戦い続けてきたんだろう。
千年間、ずっと。
「…終わらせないと」
「え?」
本当に囚われてる。
イノセンスに。
もうあの人が慕っていた、守るべき女性はこの世にいないのに。
「ゴズ、クラウディアさんの姿を捜して」
「クラウディアって…あの女の人ですか?」
「ビットリオを止められるのは、きっとクラウディアさんしかいない」
サンドラ姫と思い込んでいるクラウディアさんの言葉なら、きっとビットリオも耳を貸すはず。
止めさせないと。
終わらせないと。
こんなの永遠に続く戦いのループ地獄だ。
「あ! 先輩、あそこ…っ! あれそうじゃないですかっ」
「!」
ゴズが指差した先。
闘技場の客席に続く階段の陰に立つその姿に、咄嗟に駆け出した。
「雪先輩っ!?」
「ゴズは自分の命優先! 隠れてて!」
まだ新人のゴズは戦場での経験は浅い。
下手に動いて命を落とす羽目になったら困る。