My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「AKUMAっ!? こんな狭い場所にAKUMAなんて現れたら、大変ですよっ」
「大丈夫、此処じゃありません」
慌てるゴズに、アレンの顔が暗い天井に向く。
その左目に現れたスコープに、印が幾つも浮かんでいった。
「AKUMAは全部、外にいます。この上です」
上ってことは…闘技場の広場?
「何体だ」
「はっきりとはわかりませんが…結構な数です。どんどん集まってきてる」
「それってやっぱり、ビットリオのイノセンスに誘われて…?」
暴走する程の力を放出しているビットリオのイノセンスなら、大量のAKUMAを引き寄せても可笑しくない。
「でもなんで急に現れたんでしょう…っ? ビットリオは地下にいるのに…」
「んなの外にいるからに決まってんだろ」
動揺するゴズの言葉をあっさり遮って、神田が六幻の柄を握る。
「出口を探してる暇はない。出るぞ、此処から」
「えっ」
まさか天井を斬るつもり!?
そんなことしたら、生き埋めかカラクリが作動してしまう。
「はぁ…待って下さい神田。雪さんとゴズさんの安全確保してからです」
溜息混じりにイノセンスを発動させたアレンが、白いマントを体に纏う。
「二人共こちらに。僕が守りますから」
「おおっそれがアレンさんのイノセンスですか!」
キラキラとした目で寄るゴズと私の体を、大きく広がったマントがあっという間に包み込んだ。
アレンの左目といいこのマントといい、便利だなぁ本当に。
「外に出たらきっとAKUMAの攻撃がきます。僕と神田で相手しますから、二人はすぐに何処かへ隠れて下さい」
「わかった」
「わ、わかりましたっ」
「神田、いいですよ。僕が落ちてくる瓦礫を弾くので、穴を開けるのは任せます」
左腕を発動させて頷くアレンに、神田の目が再び天井へと向く。
成程、それなら生き埋めになる可能性は格段に低くなる。
…こうして二人で息を合わせれば、本当に心強いんだけどな…。
………少しくらい、仲良くすればいいのに。