My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「何ちんたら喋り込んでんだよ。ちゃんとついて来い」
前方から飛んでくる低い声。
アレンと共に目を向ければ、顔だけ振り返ってこっちを見てくる神田がいた。
あ、眉間に皺が寄ってる。
「ついて行ってますよ、ちゃんと。はい、雪さん手」
「え?…あ、うん」
差し出される手に一瞬意味がわからなかったけど、すぐに気付く。
そうだ、アレンの迷子防止対策だった。
「…何仲良く手なんか繋いでんだ。遠足に来てんじゃねぇぞ」
握り返せば、神田の眉間の皺が更に深くなった。
「意味があってやってるんです。意味もなくガン飛ばす神田とは違います」
「あ? んだとコラ」
「か、神田さーん…こんなところで喧嘩なんて駄目ですよ…」
ギロリと鋭さを増すその目に、恐る恐る苦笑混じりにゴズが呼びかける。
「アレンが迷子にならないようにね。ロープで体繋ぐのは却下されたから」
「はっガキかよ」
ゴズを助ける意味でも説明を付け足せば、神田に鼻で笑われた。
「はい、僕子供なもので。すみません雪さんしっかり握ってて下さい」
だけどアレンはにっこりと笑ってそう返すだけ。
「……」
うわ。
今、明らかに神田の額に青筋が見えたよアレン。
わざとでしょ。
わざと煽ったでしょ今。
ラビに対して割と黒いアレン見ることあるけど、今のもそうだったよなんか。
「と、とにかくビットリオを早く捜さないと。イノセンスが暴走してるならAKUMAも寄ってくるだろうし、人間のクラウディアさんには危険だよ」
このままじゃ堂々巡りでまた喧嘩勃発しそうだから、慌てて仕切り直す。
「でもこんな地下にいるなら、AKUMAも気付かないんじゃ──」
言いかけたアレンの言葉が止まる。
同時に、その左目にスコープのような──…あ。
まさか。
「AKUMAが出たの?」
「…みたいです」
やっぱり。