My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「さて! じゃあビットリオを捜さないとですねっ」
「あいつをやるのは俺だ。手出しするなよ」
「はいはい、わかりましたよ」
改めてビットリオ捜しだと先頭を切って腰を上げるゴズ。
その後ろで念を押す神田に、肩を竦めてアレンが頷く。
あんなに剣闘士として腕の立つビットリオ相手は、確かに剣術の腕がある神田が妥当かもしれないけど…。
「ゴズ。ビットリオは本当に千年生きてる剣闘士なの? イノセンスが体に宿ってるとか…」
「ええ、はい。でもあれはイノセンスが宿ってるというより──」
「イノセンスに囚われてる」
ゴズの声に言葉を被せたのは神田だった。
「その身も心もな」
どういうこと?
「オレ達の調べでわかったことは、あの大剣にどうやらイノセンスが宿っているらしく…しかしビットリオはただの人間でした。イノセンス適合者じゃない」
「だから俺達エクソシストみたいに、イノセンスの力を自分で制御することができねぇんだよ。強い力を前にすると、あいつのイノセンスは本人の意思を超えてしまう」
「意思を超えるって…」
「より強い者と戦い、その者を倒したい欲求に取り憑かれてる」
「そんな…それってまるで、イノセンスの暴走じゃないですか」
驚き呟くアレンに、神田は無言で頷いてみせた。
型は違えど…それは少し咎落ちの時の暴走に似てる。
だからビットリオ本人にもあんな異常な力があったんだ。