My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「でも雪先輩とアレンさんが来てくれたなら、心強いです! よかったですね、神田さん!」
「良い訳あるか。邪魔だ帰れ」
嬉しそうに言うゴズとは正反対に、鬱陶しそうに吐き捨てる神田は本当に相変わらずだった。
「うわー…相変わらずムカつく言い方ですね…来て損しました」
「俺だってわざわざテメェのひょろい顔なんて見たくねぇよ。まだ馬鹿兎の方がマシだ」
「わかったわかった、わかったから! 今は喧嘩してる時じゃないでしょっ」
また喧嘩が勃発し兼ねない状況に、慌てて二人を止めに入る。
「お前もなんで来てんだよ。鵜呑みにすんなつっただろうが」
「いはいっ」
すると伸びてきた神田の手が無遠慮に私の頬を抓った。
うわ、矛先がこっちに向いたよ。
「ひへまへんっはれんひほりはひんはいらったはららよっ」
「………人の言葉を話せ」
じゃあその手を離して下さい。
「雪さんは僕について来てくれただけですよ。占いを鵜呑みになんてしてませんでした。というか気にしてませんでした。これっぽちも。全く。本当に。微塵も」
「………あ?」
笑顔で神田の手を私の頬から離したアレンが、はっきりきっぱり念を押すように言い切る。
それはもう素敵に笑顔で。
ああ…なんかもう…本当、お互いのこととなると喧嘩っ早いんだから……似た者同士だなぁ…。
「とにかくっ状況教えて欲しいんだけど。ビットリオがイノセンスなら回収しなきゃならないし、クラウディアさんも放っておけないし…」
仕切り直すように声を上げる。
とにかく状況確認が先だ。
「あの女性、クラウディアさんっていうんですか?」
「うん…って知らないの? その情報」
「ええ、はぁ」
思わずゴズを見上げれば、その顔はへらっと緊張感なく苦笑した。
「なんせオレ達、四日間この中で迷ってましたから」
「……え。」
なんですと。