My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
何あれ…!
いくら闘技場でもあんなカラクリないでしょ普通…!
「ほら早く! 雪先輩! アレンさん!」
驚き固まっている私達を急かすゴズに、慌てて駆け出す。
その脇道に逃げ込もうと──…狭!
「こ、こんな所に四人も入らないよ…!」
「脇道じゃなくてただの窪みでしょこれ!」
「つべこべ言うな! 潰れたいなら出てけ!」
「神田さん痛い! オレの体踏んでます痛い!」
ぎゃあぎゃあ喚きながら四人で小さな脇道(という名の窪み)に身を捻じ込ませる。
誰の手が足が何処にあるかなんてわからないくらい、押しくらまんじゅう状態。
ゴゴゴゴゴッ!!!
更に大きくなる球体の転がる音に咄嗟に強く目を瞑った。
手足はみ出してないよね!?
「っ!」
すぐ傍に聞こえる巨大な球体が転がる音。
風がぶわっと顔に当たる。
咄嗟に強く歯を食い縛って構えたけど──…体に痛みは走らなかった。
ゴゴゴゴ…
遠ざかっていく音。
恐る恐る目を開けて見えたのは──…あ。
「……」
ぎゅうぎゅうと押し込まれて、揉みくちゃになってしまっていたのか。
すぐ目の前にあるその黒く鋭い眼孔と目が合った。
………えーっと…
「ぉ…お久しぶりです…」
「……」
なんとなくそんなことを口にすれば、目の前のその顔の眉間に皺が寄った。
うわ、近くで見ると相変わらず怖い。
「も、もう大丈夫ですかね…」
「神田さーん…オレの上から退いてくれると嬉しいんですが…」
アレンとゴズの言葉に小さく溜息をつくと、その顔は私の前から退いた。
どうやら皆も怪我はないらしく、ほっとしつつ窪みから抜け出す。
「ビットリオさん達、見失っちゃいましたね…」
「というかなんであんなカラクリがあんの…闘技場にそんなものあったっけ…」
もうただの奇想天外カラクリ地下通路だよ此処。