My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
一斉に皆の目が向く。
「貴方方、見たところお父様が寄越した人達ね?」
其処は暗い通路の奥。
暗闇から静かに現れたのは、金髪の綺麗な顔立ちをした大人びた少女。
──クラウディアさんだった。
「クラウディアさん…! 無事だったんですね!」
「私は帰りません」
笑顔を浮かべるアレンを、クラウディアさんが冷たい顔で突っぱねる。
「いくら連れ戻そうとしても無駄です。戻ってお父様やパレッティに伝えて下さい。私は絶対に戻らないと」
「え…なんで…」
「待ってクラウディアさ──…っ!」
「姫に近付くな」
それだけ言うと、すっと暗闇に消えるように通路の奥に消えていく。
慌てて追おうとするアレンを止めたのは、ビットリオだった。
アレンの足場にガンッ!と叩き付けられる大剣。
──カチッ
同時に聞いたことのある音が。
一体、今日何度目になるか──…って、え?
これ…あのスイッチ音?
ゴゴゴゴ…
静かに何処からか木霊する地響き。
「何この音…」
「なんか…近付いてきてません?」
ゴゴゴゴ…!
アレンの言う通り。
段々と大きくなっていく。
「チッまたかよ…!」
「またあれですか…!」
その音の原因がなんなのか。知っているかのように言葉を吐いたのは、神田とゴズだった。
「あれって何」
「おい、別の通路探せ!」
「こっち! こっちに脇道ありますよ!」
「なんですか、何が起きるんですか」
慌ただしく呼ぶゴズ達に、訳がわからず置いてけぼりを喰らう私とアレン。
「さっさと来いッ潰されたくなかったらな!」
だから何──
「ぎゃー! きましたよぉおお!!」
ゴゴゴゴゴ!!!
音が突如大きくなる。
ゴズの叫び声に、思わず顔をその音がする方向に向ければ。
「え…!?」
「な…!」
其処に見えたのは、巨大な壁。
否、通路を粗削りに転がってくる巨大な球体だった。