My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「うわわ!」
「アレン!」
迫りくるその壁に、慌てて纏っていた白いマントで防御する。
迫りくる壁は左右に二つ。
まるでアレンを挟み込むようにして鋭い刃を見せていた。
アレンのあの白いマントは鎧みたいなものだから、潰されはしないだろう。
でもそのままいくと壁に挟まれて動けなくなる…!
「っ!」
咄嗟に結界を解除して走り出す。
「雪さん! 危ないから…!」
「私より自分優先して!」
いつも周りばかり気遣うアレンを叱咤して、一直線に駆け寄る。
「!」
ぶおんっと振るわれる大きな剣を視界に捉えて、咄嗟に仰け反った。
私の目の前を擦れていく巨大なギザギザの刃。
素早く体制を整えて見れば、避けられるとは思っていなかったのか。僅かに驚いた顔でこちらを見てくるビットリオと目が合った。
私に剣術の腕なんてないけど、逃げなら割と自信ある。
伊達に何度もAKUMA討伐に行ってない。
その隙を突いて、ビットリオから距離を取る。
「アレン! 結界で壁を止めるから抜け出して!」
結界装置にコードを打ち込みながら、アレンの足元に放る。
同時にヴンッと音がして、一定のシールドをアレンの周りに作り出した。
ゴゴ…
シールドに押されてアレンに迫っていた両側の壁の動きが止まる。
よし!
「ありがとうございます…!」
壁の間から抜け出すアレンを見て一安心。
よかった、挟まれなくて。
「…で、これ解除コードなんですか?」
「あ。」
そうだ。
結界の中にいるのはアレンだけだから、アレンが解除コード打ち込まないと出られないんだっけ。