My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
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「っは、はぁ…ッ」
「お、落ち着いたかな…!」
「多分…っ?」
それから散々、鏃やら刃物やらの攻撃を掻い潜って、怒涛のカラクリ攻撃が落ち着いた頃には。
スイッチがないと確認できた細い足場に、なんとか二人で身を寄せ合って固まっていた。
しっかりとお互いの手を繋いだまま。
「でも此処が何処かわかんなくなっちゃった…」
「えっ」
慌てて逃げ回った所為で、此処が何処かもわからない。
頭に記憶しておいた来た道の地図は、もう役に立ちそうもない。
「だ…大丈夫ですよっ僕がちゃんと道探しますから…!」
「あ…いや…うん。気持ちだけあり難く受け取っておくから。アレンは先頭切って歩いちゃ駄目」
あり難いけど、多分ありがた迷惑にしかならないから。
首を横に振れば、ガンッとショックを受けたアレンが大きく凹んだ。
…うんごめん。
「でもこれじゃあクラウディアさんを捜すどころじゃないですね…こんな所で迷ってたら、朝になってしまいますよ」
「うん…こうなったらもう、大技で一気に天井に穴を開けるとか…」
凹んだまま更に肩を落とすアレンの言葉に、暗い天井を見上げる。
アレンの左腕なら、この分厚い天井に穴を開けることができるかもしれない。
でも最悪崩れた瓦礫で生き埋めになる可能性もある。
また沢山のカラクリが作動して、それを喰らってしまう可能性もある。
生存確率は五分五分。
だけど迷っている時間は、私達にはあまりない。
「危険はあるけど…アレン、できる?」
問いかける。
私のその目で悟ったのか、幼さの残る少年の顔は真剣なエクソシストとしての表情に切り替わった。
「大丈夫。守ります」
繋いだ手を引き寄せられる。
ぴったりと寄り添うように触れた体に、ふわりとアレンの白いマントが守るように私の体を包み込んだ。