My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
明らかに私達がいた場所を狙って放たれたそれに、慌てて振り返る。
見えたのは、さっきまではなかったカラクリの装置。
まさかまだ動いてたなんて。
いくらここがカラクリ装置だらけだったとしても、千年も前の建物なのに。
となると…まずい。
「…アレン…此処、出た方がいいかも…」
「え?」
此処は闘技場の地下。
カラクリ装置なんてきっと、あちこち設置されてる。
「こういうカラクリがまだ、あちこちにあるかもしれない」
「そ、そうなんですか?」
「多分」
「それなら一度出ましょうっ」
「うん──ってそっち逆!」
慌てて踵を返すアレンは、物の見事に来た道と正反対に向かって踏み出した。
流石教団一の方向音痴さん!
──カチッ
「あ。」
「え。」
アレンが一歩踏み出した途端、さっきと同じ音が鳴る。
…まさか。
ヒュッ
思わず振り返って、暗い視界を掠ったのは揺らめく刃。
「どわっ!?」
反射的に仰け反れば、すぐ目の前を斧のような刃がぶおんっと振り子のように揺らめいた。
ぱらっと、髪の毛を掠った刃が数本の私の髪を舞い散らせる。
ぞっと悪寒。
「あ、アレン…っ下手に動いちゃ駄目…!」
「でも逃げないと…あっ! じゃあイノセンスで破壊すれば…!」
「えっ」
慌てて止めようにも、それより早くアレンの左腕が奇怪な形へと変貌した。
それもっと駄目!
「駄目アレン!」
「"破壊ノ爪(エッジエンド)"!」
静止の言葉とアレンの左腕の爪が呻ったのは同時だった。
ガガガガッ!!!
振り子のように襲ってきていた斧のような刃を、あっという間に左腕が破壊する。
破壊されて飛び散った刃が、あちこち通路にぶつかって。
──カチッ
──カチッ
──カチッ
再びスイッチ音。
それも複数。
「やっぱり…!」
「え。」
ギゴゴ…と重い音を立てて新たな壁が開く。
其処から覗く錆び付いた、だけど充分に人を殺められるだけの鋭さを持った刃にアレンと顔を青くした。
そんな大技使ったら、被害が大きくなるだけだから…!