My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「自分の意志を曲げる必要はないよ。アレンは今のままでいい。アレンのそういうところ、私好きだから」
"好き"
何気なく口に出されたその言葉に、思わずドキリとする。
前にもあったっけ…そんなこと言われたの。
その率直な言葉と顔の近さに、思わず照れてしまった時。
『紳士で大人びたアレンもいいけど…私はそっちの方が好きかも』
いつもみたいにちゃんと笑えなかった僕を、雪さんは好きだと言ってくれた。
…じんわりと温かくなる自分の胸に気付く。
……うん、やっぱり。
そうやって雪さんが自分の意志を言葉にしてくれる時は、いつも真っ直ぐに届くから。
だからこんなに響くのかな。
「…雪さんってやっぱり、不思議な人ですね」
「あ。またそれ言う…不思議ちゃんキャラ認定されたくないから、ラビとかの前で言っちゃ駄目だよ」
後を追って隣に並ぶ。
溜息混じりに呟くそんな雪さんの姿に、つい笑ってしまった。
雪さんと神田の関係を思うと、少しもやもやともするけど、こうして雪さんは僕を僕として見ていてくれてるから。
そう考えると、それでいいやとなんだか思えた。