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My important place【D.Gray-man】

第28章 ローマの剣闘士



「本当にいたんだね、千年生きた剣闘士」

「でもなんでクラウディアさんを攫ったりなんか…」

「うーん」


 雪さんと周りから情報収集した結果。
 この周りの武装した人達の正体は皆、賞金稼ぎだとわかった。

 話を聞いたところ、どうやらこの屋敷に住むサルディーニ家の娘であるクラウディアさんをビットリオという剣闘士が攫ったらしい。


 千年の剣闘士"ビットリオ"。
 その情報は任務に出る前にコムイさんから聞かされた。

 千年も昔にこのローマの地を治めていた領主の娘に、サンドラ姫という綺麗な女性がいた。
 その美貌で沢山の求婚を頂いたサンドラ姫は、首を横に振って全て断ったらしい。

 "私はこの世で一番強い男の妻になります"

 サンドラ姫のその言葉によって領主家に仕えていた剣闘士ビットリオが、あの闘技場で幾人もの求婚者と剣を交えたとか。
 その腕前は確かで誰もビットリオを負かすことはできず、戦いはサンドラ姫が病で去って千年経った今も続いているという。


 …これだけ聞けばただの都市伝説みたいなものに思えるけど。
 本当にビットリオは、この世に存在していたのか。


「でも問題はクラウディアさんが攫われたってことより、娘が攫われて三日も経ってから救いに行こうとしてることだよ」

「…確かに」


 どうやらこの賞金稼ぎの人達は、サルディーニ当主が娘を助ける為に呼んだ人達らしい。

 でも雪さんの言う通り。
 こんなに沢山の賞金稼ぎを呼べるなら、なんですぐにクラウディアさんを助けに行かなかったのか。
 大事な一人娘なら、攫った相手がわかってるならすぐにでも取り返しに行くのが普通…だと思う。


「勇者諸君! よく集まってくれた。暫く手を止めて私の話を聞いてほしい!」


 雪さんと広場の隅っこで話し込んでいると、パンパンと強く手を叩く音がして屋敷の二階のバルコニーから声が響いた。
 見上げれば、明らかに高級な服を身に纏った男性が二人。
 声を上げた男性は中年層らしく、その隣に立つ男性はもっと歳の重ねた男性だった。

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