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My important place【D.Gray-man】

第28章 ローマの剣闘士


 ✣

 乾いた土の道を歩きながら、同じく隣で歩み進める姿に目を向ける。
 此処はイタリア、ローマの地。


「ローマ郊外の遺跡ですか…」

「うん。その闘技場で、大量のAKUMAの目撃情報があったんだって。ゴズのその連絡が最後」


 ファインダーの雪さんと共に当てがわれたのは、任務中に音信不通になった神田達の安否確認とイノセンス回収任務だった。

 あの神田に何かあったとはあまり思えないけど、引っ掛かったのは司令室でコムイさんから聞いた"占い"の情報。
 雪さんが中国の任務先で聞いた占いらしいんだけど…そこで予知されたエクソシストの死が神田かもしれないとか。
 にわかには信じ難かったけど、全く無視する訳にもいかない。


「連日AKUMAの姿は目撃されてたみたいで、闘技場に入っていったAKUMAが出てくることは一度もなかったんだって」

「ということは、其処にイノセンスが?」

「恐らく」


 大量のAKUMAの情報がある故に、本来は僕一人で行くはずだった任務。
 監視役のリンクでさえコムイさんは任務から外したのに、雪さんの同行は許された。
 なんでだろ…それだけ雪さんが優秀なファインダーだからかな。

 それにしてもリンク怒ってたなぁ…帰ったらネチネチ文句言われそう。
 でも監視の付いていない時間は、僕にとっては息抜きになるし。
 ごめん、リンク。


「でもAKUMAが戻ってこないのなら、イノセンスだけじゃなくその適合者がそこにいる可能性もあるかも」

「成程」


 イノセンス適合者なら、寄って来るAKUMAを倒すこともできる。

 背中の荷物を背負い直しながら、宙を見上げるようにして司令室で聞いた情報を口にする雪さん。
 その横顔は、いつもより覇気がないように見えた。

 …神田のこと、心配してるのかな。


「大丈夫ですよ」

「え?」


 元気付ける意味でも、笑って声をかける。


「神田はそう簡単にやられませんから。雪さんが誰よりその腕を知ってるでしょ?」


 そう言えば、ぱちりと瞬いた目は僕を映して罰が悪そうに笑った。

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