My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「うーん。大量のAKUMAの目撃情報が入ってる以上、エクソシスト以外の人間はそう向かわせられないよ。危険過ぎる」
腕組みして、難しい顔で渋るコムイ室長。
確かに、ただの人間の私には危険過ぎるかもしれない。
…でも。
「足手纏いにはならないようにします。AKUMA討伐なら慣れてますし…エクソシスト一人だけなら、そのサポートをさせて下さい」
深々と頭を下げる。
ただ待っているより、できるなら自分の目で確かめたい。
神田とゴズの安全を。
この不安感を抱いて、じっとしていることはできなかった。
「雪くん…」
「駄目です」
室長の声に被せるかのように、きっぱりと断りを入れたのは室長補佐官のフェイさんだった。
「貴女の次の任務は別で決まっ」
「いいよーん☆」
「室長!?」
それを遮ったのは、思いっきりフランクに砕けた室長の声。
「まー確かに、彼一人で行かせるには少し心配だったしね~。雪くんがサポートに回ってくれるなら安心できるかも」
「室長、何を勝手に…!」
「いいじゃないか、一人くらい。フェイくんの腕前ならすぐ雪くんの代わりを見つけられるでしょ?」
「そ、それは…」
おお…室長、いつの間にかフェイさんの扱い方が上手くなってる。
「じゃあしっかり彼のサポート、頼むよ雪くん」
「ぁ…ありがとうございますっ」
もう一度、慌てて頭を下げる。
室長は両手を組んでその上に顎を乗せたまま、にこにこと満面の笑みを浮かべていた。
「それで、そのエクソシストというのは?」
「ああ、うん。それは──」
「失礼します」
コンコンとノック音がして、司令室のドアが開く。
中に足を踏み入れて来たのは、見知った一人のエクソシスト。
「ああ、丁度良い所に来たね。彼がそうだよ」
「え?」
室長のその言葉に、もう一度彼に目を向ける。
「なんの話ですか?」
きょとんと不思議そうに首を傾げたのは、白髪のエクソシスト、アレンだった。