My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「──え? まだ帰ってない?」
それから五日後。
ファインダーだけの調査任務に出て、無事教団に帰還して早々、聞いたその内容に耳を疑った。
「そうなんだよ。ゴズの奴、大丈夫かな~」
心配そうに呟くバズの言葉に、つい押し黙る。
新人ファインダーのゴズのことも心配だけど…気になるのは、神田も同じ。
任務に発ってから、一週間。
AKUMA討伐でもないのに、イノセンスの回収でそこまでかかるなんて…何かあったのかな。
「…私、報告がてらコムイ室長に聞いてみるよ」
「おう。頼んだ」
仲間思いのバズに軽く笑顔を返して、司令室に向かう。
…なんとなくだけど、嫌な予感がした。
「──音信不通…?」
「うん。三日目の夜から、ぱったり連絡が取れなくなってね」
司令室で手早く報告を済ませ、早速と神田達のことを尋ねてみた。
すると思いもかけないコムイ室長の答えに、思わずもう一度問いかけてしまった。
任務に出て三日目に音信不通になり、四日間何も音沙汰なし。
これは…イノセンス回収じゃなくAKUMA討伐の任務であっても、不安に思う。
何かあったのかな。
「最後にゴズくんから連絡が入った時は、大量のAKUMAの目撃情報が入ってたんだ」
「AKUMAの…ですか…」
「聞く限りは全てレベル1のAKUMAだったらしいから、そう心配もしてなかったんだけど…こうも連絡がないとね」
僅かに溜息をつきながら話す室長の顔に、いつものフランクさはない。
確かに神田なら、相手がレベル1のAKUMAなら心配しなくてもよさそうだけど…任務中に予想外のことが起きるのはよくあること。
もっと上のレベルのAKUMAと遭遇しても可笑しくない。