My important place【D.Gray-man】
第26章 ワレモコウ
「うん。絶対とは言い切れないけど、きっと可能性はゼロじゃない」
そんなメイリンを励ますように、明るく雪が頷く。
「私達、世界各国を回ってる機関で働いてるから。もしかしたら、その誰かの死を回避できるかもしれない」
「そ、そうっスね…!」
メイリンの反応からして、恐らく見えた未来は知らない他人の死。
そこから特定の人物を捜し出すのは、果てしなく難しい。
でも雪が言うように可能性はゼロじゃないしな。
「時間軸がいつ頃かはわかるんさ?」
目線を合わせたままメイリンに問いかける。
チャオジーから水晶玉を受け取りながら、メイリンはじっとそれに目を向けた。
「多分…そんなに遠くない未来」
「はっきりとはわからないんスね…」
「お姉さんくらい近い未来なら、わかるんですけど…すみません」
「ううん、大丈夫だよ。他には? その人の特徴とか、場所とか。何か見える?」
雪の促しに、じっとその水晶玉を見つめたまま。少し沈黙を作った後、はっとしてメイリンは顔を上げた。
その目は…ん?
「…ラビ?」
「ラビさんがどうかしたんスか?」
じっと、メイリンの目はオレを…っておいおい。なんかじっとこっち見てるんだけど!
「え…まさかラビの未来…?」
「じっ…冗談! メイリンは知らない奴が見えたんだろ!? オレじゃねぇさ!」
「なんだ、ラビさんじゃないんスね…」
「なんで残念がってんだよチャオジー!」
冗談でもタチ悪ィから!
いつか死ぬってわかってても、自分の死期なんて知りたくねぇさ!
「ラビさんだったら捜す手間が省けるなって思っただけっスよ」
「その人の特徴わかる? 赤毛で眼帯付けたりしてない?」
「だからオレ確定させようとすんのやめろって!
今ふざけんの禁止な!」
流石に笑えない冗談に、二人に声を張り上げれば。
「……服、」
オレをじっと見たままメイリンが呟いた。