My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「あれ」
「あ、雪さん」
ヘブラスカのいる地下へと向かう途中、ばったりと出くわしたのはアレンだった。
「任務帰りですか? お疲れ様です」
「うん、ありがとう」
「おー」
「…っス」
にっこり笑って労ってくれるアレンに、ラビと共に笑顔を返す。
ただ一人、チャオジーはどこか素っ気無く返事をしただけだった。
あれ…珍しいな。
誰にでも気さくなタイプかと思ってたのに。
「この先はヘブラスカの間ですけど…もしかしてイノセンスが見つかったんですか?」
「うん。偶々ね」
「オレが見つけたんさー」
「へぇ、ラビが? 珍しいこともあるんですね」
「オイ」
軽く話をしながら、隣を歩くアレンも私達と同じ方角へと足を進めていく。
「もしかしてアレンも、ヘブラスカの所に用事?」
「はい。イノセンスの検査をしてもらいに」
「左腕、怪我しちゃったの?」
「いえ。…月に一度、ヘブラスカに見てもらわないといけなくて」
苦笑混じりに漏らすその言葉は、初めて聞いた内容だった。
ノアの方舟を操れるアレンだから、頻繁に体の検査でもしてるのかな…?
いつも傍にいるリンクさんが見当たらなくて問えば、検査時は席を外してもらっているとのことだった。
なんでだろ?
「──あ、此処だ」
アレンも交えて、エレベーターに乗って向かった地下通路。
暗いその通路の先は、一つの大きな広間に繋がっている。
その広間のドアを左右に開けば、其処には地下とは思えない巨大な空間が存在していた。
「わぁ…広いっスねーっ」
高い天井を見上げて歓声を上げるチャオジー。
新本部になってから、ヘブラスカの間に来たのは初めてかなぁ…旧本部でも充分大きな広間だったけど。
「アレン、先にイノセンス預けちゃってもいいかな」
「いいですよ」
アレンに一言断りを入れて、先に用事を済ませることにした。
アレンの検査の方が時間が掛かりそうだし…確か寄生型だから、体をあちこち触られるんだよね?ヘブラスカに。
…うん、そういうのあんまり見ないであげた方がよさそう。