My important place【D.Gray-man】
第28章 ローマの剣闘士
「──以上です」
「うんうん、任務ご苦労様。いやー、まさかイノセンス見つけちゃうとはね。初任務で快挙だね、チャオジー」
「いえ! イノセンスを回収してくれたのは、ラビさんと雪さんですからっ」
次の日、早速と教団本部に方舟で帰ってそのまま、司令室へ報告に向かった。
いつものようにフランクに迎えてくれたコムイ室長に、口頭報告を済ませる。
にこにこと笑みを浮かべる室長に、同じく満面の笑みを浮かべて首を横に振るチャオジー。
こういう素直で誠実なところが、チャオジーの良いところなんだなぁ。
今回の任務で、色々とチャオジーの顔を知ることができた気がする。
「そーいやさ、コムイ」
「なんだい?」
「ユウ達ってもう帰ってきてるんさ?」
私の隣で報告を黙って耳にしていたラビが、なんとなしに口を開いたかと思えば。ずばり問いかけたその内容に、思わず私とチャオジーは目を向けた。
口頭報告で、メイリンのことは話していない。
本来の任務内容とは関係のないことだったから。
「神田くん? いや、まだだよ」
「そうなん? イノセンス回収してくるだけなのに?」
「まぁ何かしら事情があるんじゃないかな? まだ二日目だし、気にする程のことじゃないよ」
ひらひらと軽い調子で手を振る室長。
確かに室長の言う通り、一日二日、任務が長引くなんてよくあること。
神田なら、そのうちに涼しい顔して教団に戻ってくるだろう。
寧ろ心配するならゴズの方。
神田に足手纏いだって思われて、置いていかれてないといいけど…。
「ふーん…」
「大丈夫っスかね?」
「大丈夫? 何がだい?」
心配そうにラビに問いかけるチャオジーのその言葉を、室長は聞き逃さなかった。
まぁ…言わない理由はないし。
「それが…任務先の村で気になることがありまして」
「気になること?」
一呼吸置いて、チャオジーの代わりに口を開く。
そうして結局、メイリンのことを室長に伝えることにした。
まぁ…多分、室長がどんな反応をするかは大体わかるけど。