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My important place【D.Gray-man】

第25章 ノア メモリー



「やっぱり、あの声はこの人形からだったんだ…」

「ドア、開かなくて逆によかったさ…」


 ぽつんとドアの前にあったのは、あの探していた女の子の人形。
 頭を下げて、座るようにその場に置かれていた。
 恐らくこの人形が、チャオジーの声を真似ていたんだ。


「てっきりこの人形がイノセンスかと思ってたけど。違ったね」

「イノセンスに操られてた、ただの人形さ」


 もう普通の人形だけれど、そのリアルな顔立ちはここで見るとやっぱり少し怖い。
 なんとなく触れる気にはならなくて、ラビと静かに背を向けた。


「チャオジー、何処かな」

「通信ゴーレムに連絡入れてみっか」


 ラビの鉄槌の灯りを頼りに、暗い廊下を進む。
 どうにか任務遂行できたことに、ほっと息をついた。










『キャハハハハ』










 突如聞こえた声は、真後ろから。


「「!?」」


 思わずラビと足を止める。










『あたしエリー』










 …なんで。

 もうイノセンスは回収した。
 あの部屋や廊下に漏れていた大量の水も、ラビの鉄槌で全て蒸発したのに。

 恐る恐る無言でラビと振り返る。
 鉄槌の灯りに薄らと照らされたのは、ぽつんとあのドアの前で座ったままの人形。

 ただ、俯いていた顔は何故か上がっていて。










『なかよくしてね』










 まるで首を傾げるように。こちらを見ながら、カチャリと頭を横に倒した。

 ぞわりと悪寒。



 あ。これ"本物"だ。



















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