• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第25章 ノア メモリー



「これで一件落着さ?」

「うん。後はチャオジーを捜さなきゃ」

「チャオジーの奴、無事だといいけど…」


 再び灯り用に"火判"を発動させた鉄槌を肩にかけて、ドアへと向くラビを見る。
 こちらを向かない背中を確認したまま、恐る恐るその鉄槌に指先を伸ばした。
 軽く触れた指先は弾かれることなく、拒絶も何も起こらない。
 今までもイノセンスの原石に触れたことはあるけど、あんなふうに拒絶されたことはなかった。

 武器として加工する前の結晶は、力の制御ができない。
 だから拒絶されたのか、理由はわからないけれど。

 水の鏡越しに見えた、私の傍に立つ白い人影。
 「奴を許すな」と口にしたあれは、恐らくきっと──


「雪」

「え?」


 名前を呼ばれてはっとする。
 いつの間にかこちらを振り返っていたラビが、私を見ていた。
 いけない。


「ごめん」

「チャオジー見つけたら、早くこんな所出るさ」

「うん」


 催促するその視線に、慌てて小走りで隣に並ぶ。


「でももう怪奇現象は起きないと思うよ。イノセンス回収できたんだし」

「だとしても、こんな所ずっといたくねぇって」


 まぁ、その気持ちはわかるけどね。

 ラビが古びたドアノブを掴む。
 あんなにビクともしなかったそれは、やはりイノセンスを回収したおかげか。すんなりと開いて──


「…あ。」

「うえ」


 目の前のそれに、思わずラビと顔を顰めた。

/ 2655ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp