My important place【D.Gray-man】
第26章 ワレモコウ
「部屋、用意できたよ。ツイン一つしかなかったから、それでいい?」
「いーけど、どうやって寝るんさ?」
「ベッドは二人で使って。私がソファで寝るから」
「ええっ駄目っスよ! ソファなら俺が使いますから!」
「駄目駄目。イノセンスは無事回収したけど、帰りにAKUMAと遭遇しないとも限らないし。二人はちゃんと寝て、ちゃんと体力回復させないと」
「で、でも…」
「それにチャオジーもラビも私より体大きいでしょ。私はソファでも伸び伸び寝れるから。都合的に丁度いいです」
笑顔で告げられる正論に、言い返せずチャオジーが押し黙る。
「その気持ちだけ、あり難く頂いておくね」
そんなチャオジーの肩にぽんと軽く手を置いて、荷物を肩にかけて部屋に向かう。
雪はファインダーとしてサポートすんのが仕事だから、それを拒むのは仕事を邪魔するのと同じこと。
そう思ってたから、今まではそんなこと気にしなかった。
「…雪さんって、ファインダーの鏡みたいな人っスね…」
「現にそうだからなー」
まじまじと雪の背中を見て呟くチャオジーの隣で、緩く頭の後ろで両手を組みながら頷く。
そう、気になんて止めたことなかったのに。
…多分今は、気になってしまう。
「──はい、明日戻ります。ええ、はい。報告書はその時に。では、失礼します」
本部との連絡を済ませた雪が、荷物の電話機に受話器をかける。
「ふぅ…これでよし」
てきぱきと荷物を片したかと思うと、再びそれを背負ってソファから腰を上げた。
「ちょっと外出てくるね」
「へ? なんでっスか?」
「ラビが思いっきり鉄槌で着地したから、村の入口に穴作っちゃったでしょ」
「…あ。」
やべ。
あの時は人形への恐怖心でいっぱいで、後先考えてなかった。